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超硬工具:使用上の注意
1. 安全上のご注意
硬質工具材料・製品のご使用にあたって人身への危害、財産への損害を未然に防ぐため、お守りいただくことを次のように区分して説明します。本文中の注意事項についてもよくお読みの上、正しくご使用ください。

■ 注意事項については次のように区分します。いずれも安全に関する重要な内容ですので、必ず守ってください。
警 告 取扱いを誤った場合、使用者が死亡または重傷に結びつく可能性のあるもの。
注 意 取扱いを誤った場合、使用者が軽傷を負うことが想定されるか、または物的損害の発生に結びつく可能性のあるもの。
2. 硬質工具材料の基本的特徴
2-1本パンフレットにおける用語の意味と使い分け
2-1-1 硬質工具材料
超硬合金、サーメット、セラミック、cBN焼結体、ダイヤモンド焼結体などの工具材料の総称
2-1-2. Co系硬質工具材料
Coを0.1%以上含む硬質工具材料。WC-Co系超硬合金、Coを含むサーメット、cBN焼結体、ダイヤモンド焼結体等
2-2.物理的特性
2-2-1.外観
材質により異なり、灰色、黒色、金色等。
2-2-2.臭気
無臭
2-2-3.硬さ、比重
表1に硬質工具材料の硬さ及び比重を示します。
表1 硬質工具材料の硬さ及び比重
硬質工具材料 硬さ(HV) 比重
超硬合金 500~3000 9~16
サーメット 500~3000 5~9
セラミック 1000~4000 2~7
cBN焼結体 2000~5000 3~5
ダイヤモンド焼結体 8000~12000 3~5
(高速度鋼) 200~1200 7~9
(工具鋼) 200~1200 7~9
(ダイヤモンド電着品) 8000~12000 3~5
2-2-4.成分
W,Ti,Al,Si,Ta,B,V等の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物およびこれらに加えて、Fe,Co,Ni,Cr,Moなどの 金属成分を含むことがあります。
3. 硬質工具材料の安全性について
硬質工具材料の取扱い上のご注意
・労働災害や職業性疾病などを未然に防ぐために、表2に述べる「安全上のご注意」を必ず守ってください。
・ご使用前に、この「安全上のご注意」すべてをよくお読みの上、指示に従って正しく使用してください。
・お読みになった後は、お使いになる方がいつでも見られる所に必ず保管してください。
表2 硬質工具材料の安全性について
警 告
① 硬質工具材料は、非常に硬い場合は脆い特性があり、無理な締付けや衝撃を与えると破損・飛散することがありますので注意して下さい。
② 比重が10以上の硬質工具材料は、大型製品や数量が多い場合は重量物として取り扱い、重さに注意して取り扱い下さい。
③ 硬質工具材料への刻印をレーザー、電気ペン、電着砥石等で行うと亀裂を生じることがあります。ワーク部分や応力が作用する部分への刻印を行わないようにして下さい。
④ 硬質工具材料は一般のケース鋼材と熱膨張係数が異なることがあります。焼きばめ、冷やしばめおよび温度が高くなる用途では割損・飛散することがありますので十分考慮して設計・作業して下さい。
⑤ 硬質工具材料は、ろう付けなどにおいて耐熱衝撃温度より大きい温度変化を与えると割れることがあります。また適正なろう付け温度で行わないと、脱落したり破損することがあります。適切な条件でろう付けして下さい。
⑥ 一度使用した硬質工具材料の修理では、使用で生じた亀裂などの損耗部分を十分除去する必要があります。独自の修理はしないようにして下さい。
⑦ 硬質工具材料は、研削加工すると粉塵などが発生します。これらを飲み込んだり、吸引すると、体に有害ですので、局所排気装置や保護マスク等の保護具を使用して下さい。
⑧ 硬質工具材料は、研削加工すると粉塵などが発生します。これらを目や皮膚と接触したり付着すると、危険ですので、保護メガネ等の適切な保護具を適切に使用して下さい。
⑨ もしも、研削加工した粉塵などが、皮膚や目に付着した場合は、水で洗い流して下さい。大量に飲み込んだ場合及び目に入った場合は、速やかに専門医を受診して下さい。
⑩ コバルト及びその無機化合物は特定化学物質に指定されています。通常の使用における工具は適用除外されていますが、物理的な変化を加える(素材の加工・製品の修理をする)職場では特定化学物質障害予防規則(特化則)に従った取扱いをする必要があります。
⑪ 応急処置の詳細、火災時の処置、漏出時の処置、廃棄上の注意等は素材のMSDSを見て、適切に対応して下さい。
注 意
⑫ 耐食性が付与されていない硬質工具材料は、研削液や潤滑液、その他の水分で腐食して強度低下を招くことがあります。
⑬ 硬質工具材料を長期保管する場合、保管環境(多湿等)によっては、錆等の腐食が発生する恐れがありますので、防錆には注意して下さい。
⑭ 硬質工具材料は、研削加工後の表面状態により強度が著しく低下することがありますので、適切な加工条件で仕上げて下さい。
⑮ 硬質工具材料を放電加工すると、表面に微小亀裂や影響層を生じ強度低下などを生じますので、本来の特性を得るためには微小亀裂や影響層を研削除去して下さい。
警 告
⑯硬質工具材料は、超高圧工具として使用した場合、使用後の保管中あるいは修理中に、爆裂(遅れ破壊)することがあります。
4. 使用上のご注意
先に硬質工具材料として共通の取扱い上の注意事項を述べましたが、耐摩耗工具として、さらに次に述べる注意事項を守ってください。耐摩耗工具の使用上の注意事項を表3に示します。
表3 耐摩耗工具の使用上の注意事項
耐摩耗工具全般 警 告 対 策
工具を機械、装置にセットする際、衝撃的な負荷を与えますと、破損、飛散することがあり危険です。 工具(チップ)に衝撃的な負荷を与えたり局部的に応力をかけないで下さい。
過度に摩耗した状態で使用を続けますと被加工物に工具の破片が食い込んだり、被加工物が焼き付き、工具が破損、飛散してけがをすることがあり危険です。 修理、工具交換を適切に設定して計画的に行って下さい。安全カバーや保護メガネ等の保護具を使用して下さい。
注 意 対 策
過度に摩耗した状態で使用を続けますと工具の成分が被加工材に混入する場合があり危険です。 工具交換を適切に設定して計画的に行って下さい。
切断刃スリッタ類 警 告 対 策
偏心回転やバランスが悪いと、振れ、振動を生じ、破損、飛散し、ケガをすることがあるので危険です。 定められた使用方法を順守して下さい。
注 意 対 策 対 策
鋭い切れ刃を持っているため直接手で触れるとけがをすることがあり危険です。 保護手袋等の保護具を適切に使用して下さい。 回転体の近くでは軍手等巻き込まれるような保護具を使用しないでください。
その他 注 意 対 策
ろう付けを繰り返すと使用中にチップが破損しやすくなり危険です。 ろう付けをし直して使用することはせず新しいチップを用いて下さい。
所定の用途以外の目的で使用することは機械や工具の破損を招き危険です。 定められた使用方法を順守して下さい。
耐摩耗工具全般
警 告 対 策
工具を機械、装置にセットする際、衝撃的な負荷を与えますと、破損、飛散することがあり危険です。 工具(チップ)に衝撃的な負荷を与えたり局部的に応力をかけないで下さい。
過度に摩耗した状態で使用を続けますと被加工物に工具の破片が食い込んだり、被加工物が焼き付き、工具が破損、飛散してけがをすることがあり危険です。 修理、工具交換を適切に設定して計画的に行って下さい。安全カバーや保護メガネ等の保護具を使用して下さい。
注 意 対 策
過度に摩耗した状態で使用を続けますと工具の成分が被加工材に混入する場合があり危険です。 工具交換を適切に設定して計画的に行って下さい。
切断刃スリッタ類
警 告 対 策
偏心回転やバランスが悪いと、振れ、振動を生じ、破損、飛散し、ケガをすることがあるので危険です。 定められた使用方法を順守して下さい。
注 意 対 策 対 策
鋭い切れ刃を持っているため直接手で触れるとけがをすることがあり危険です。 保護手袋等の保護具を適切に使用して下さい。 回転体の近くでは軍手等巻き込まれるような保護具を使用しないでください。
その他
注 意 対 策
ろう付けを繰り返すと使用中にチップが破損しやすくなり危険です。 ろう付けをし直して使用することはせず新しいチップを用いて下さい。
所定の用途以外の目的で使用することは機械や工具の破損を招き危険です。 定められた使用方法を順守して下さい。
5. 最後に
本パンフレットの内容は、安全衛生上の基本的な項目について記載しております。その他の詳細につきましてはSDSに記載の当該項目を参照願います。 法的要求事項については適用法令(労働安全衛生法・化学物質排出把握管理促進法:PRTR法)を参照願います。

耐摩耗工具の仕様(工具設計および使用条件)は、特別な契約がない限り、お客様の管理下にあります。 発注時の仕様以外で使用された場合の事故等については一切の補償をいたしかねます。契約がある場合には、それによります。

(2020年3月改訂)
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